読書「生物と無生物のあいだ」福岡伸一著

分子生物学の歴史と、一番乗りを争う研究競争の現場を描いた読み物として楽しめた。

分子の大きさに対して生物の大きさ(構成する分子の個数)がどうしてこれほど大きいのかという辺りなど、言われてみれば当たり前だと思うが、説明がうまく語り口が滑らかなので、知っている部分はそうそうと納得しながら、知らなかったこともそうなんだとすんなり頭に入ってきて読みやすい。

生命とは動的平衡にある流れであるというのが結論の一つ。自分自身も、隣にいる妻も、飼っているネコも実は動的平衡にある流れなのだと考えてみると、実感が湧きにくいだけにおもしろい。一方通行の時間の流れによる無秩序の増大に抵抗して秩序を維持するがために、今の自分を構成しているものは一年前の自分とほとんど入れ替わっているのだ。

読んでいて気になったのは、レトリックに凝りすぎて表現が所々でくどく感じたこと。せっかく"科学者でありながら"文章がうまいのだから、情景描写など前菜の味付けはほどほどに、科学啓蒙書のメインディッシュである本筋部分でより多くの人に面白く/分かりやすく読ませる文章を書いてほしいと思う(注:今でもメインディッシュはじゅうぶんすぎるくらいおいしいが、前菜にちょっと凝りすぎ。できればその労力を回してもっとメインディッシュをおいしくしてほしいという意味)。

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 科学

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

分子生物学

分子生物学での検索結果をマッシュアップ。一語から広がる言葉のポータルサイト。